ANDO MUSEUM

美術館

直島・本村地区には築100年近い古民家が残っており、何世代にもわたる人々の生活の風景を見ることが出来ます。
ANDO MUSEUMは、地域の歴史が刻み込まれた古い木造の民家や塀を保存しながら改修し、内部にはコンクリートの空間がつくられています。古いものと新しいもの、木造とコンクリート、光と闇といった要素が組み合わさった展示空間です。建物のスリットから差し込む光により陰影に富んだ空間となっています。
館内は、安藤忠雄が約30年にわたり、直島の自然の中につくってきた美術施設を手掛けた軌跡や直島の歴史について紹介されています。

「自身の建築のミュージアム」というプログラムに対し、考えたのは空間体験そのものを主題とする施設である。敷地は「家プロジェクト」が展開される直島本村地区の一角に位置する。そこには築100年、木造二階建ての典型的な民家が建っていた。
「ANDO MUSEUM」のようなヒューマンスケールの仕事において、常に考えられるのは既存の環境に対し、いかに最小限の表現で切り込み、最大限のふくらみを持つ空間をつくれるか、ということだ。
最初期の仕事である「住吉の長屋」では、三軒長屋の真ん中をコンクリートハウスで置き換えるという手法で、このテーマに挑んだ。「ANDO MUSEUM」では、それを古民家の内部にコンクリートボックスを入れ子状に組み込むという形で試みている。意図したのは、過去と現代、木とコンクリート、光と闇といった対立する要素が刺激的にぶつかり合いつつ重層する、小さくとも奥行に富んだ空間だ。さらにもう一つのエレメントとして、既存建物から独立した位置に、内径2.7mでわずかに傾いたコンクリートのシリンダーを文字通り埋め込んでいる。頭上から落ちる光の表情が全て——-ここは<瞑想>のための空間である。建物を地形、環境と一体化するよう考えてきた、直島でのこれまでのプロジェクト同様、新しい建築要素を民家の中に、あるいは地中に埋め込んだ「ANDO MUSEUM」もまた、目指すところは<見えない建築>だ。見えない時、問われるのは空間の質しかない。訪れた人は、このささやかな私の思う建築のエッセンスを感じ取ってもらえたら、嬉しく思う。      安藤忠雄

ANDO MUSEUM
開館時間:10:00~16:30
休館日:月曜日※ただし、祝日の場合開館、翌日閉館
鑑賞料:520円 15歳以下無料

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