聴竹居を訪ねて

レトロ建築物

(2017年8月の記事です)

京都に行ったついでに藤井厚二設計の環境共生住宅「聴竹居」を見学することに。

ところが、見学したあと、「ついでに見学」ではなく

これは、「メインの見学」と言っても過言では無い!という充実感を味わえました。

この住宅は、藤井厚二が1928年(昭和3年)に建てた自邸です。

意匠的には、フランク・ロイド・ライトの和風版という感じがして、

クールでかっこいいです。

が、現地で説明を聞くと、単にかっこいいだけでなく、

ものすごく機能に富んだ住宅であることを知らされます。

意匠は、機能も兼ね備えたいわゆる「機能美」なんですね。

東南の縁側の窓は、庇や柱を見せずにいかに景観を楽しむかに

徹しており、その考え方は昨年見学したブルーノタウト「熱海の家」

と同じだと思いました。

(実際、ブルーノタウトも聴竹居を絶賛しております)

その他、通風の方法、換気の方法、錯覚を利用した家具、

機能も備えている照明、湿気対策、

お手伝いさんの姿を見ない工夫(当時はお手伝いさんの姿を見ないで

食事をすることがステータスだったそうな)、

そして、当時としてはありえないほど電気を使っていたなど、

要は今で言うセレブだったわけです。

家の利便性だけではなく、ライフスタイルについてもこだわりがあったそうです。

当時のリビングは、主人が客を呼んでもてなす場であって、

奥様は、奥に引っ込んでいるという慣習だったらしいですが、

(奥様の語源そのものですね)

これからは男女平等の時代が来るということで、

リビングを家族のだんらんの場にしたそうです。

いろいろ羨ましい生活ぶりだったわけですが、建築家、大学教授、執筆家と

いろんな仕事をこなし多忙を極めたためか、

直腸がんになり49歳でなくなったそうです。

家の中は写真を撮らせてもらったのですが、

ネットには非公開という契約書にサインをさせられたので、

残念ながらご紹介できません。

外観のみ写真を貼っておきます。

聴竹居は、建築関係の方はもちろんのこと、

異業種の方も非常に興味深く見学できる内容となっております。

京都にお越しの際は、是非オススメします。

完全予約制です。⇒聴竹居 (8/1に重要文化財に指定されました)

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