(※こちらは2016年7月の記事になります。)
かねてから、楽しみにしていたブルーノタウト「熱海の家」に行ってきました。
私は、それを「旧日向別邸」とイコールだと思っていたのですが、誤解でした。
正確には、「旧日向別邸」の地下室の部分がブルーノタウトの設計なのです。
建物のオーナーである日向利兵衛は、貿易業、特にリンを輸入して
マッチを作ったことで大儲けしたそうです。
それで4つの別荘を所有していたのですが、そのうちの2邸は熱海にあります。
見物&ガイドは、建物のブルーノタウトの手がけた地下部分だけです。
上の写真で吊るされている電球は、当時のままです。ここはダンスルームだったため
明るくしたかったのですね。一つ一つの明かりはあまり明るくなかったのだとか。
それからブルーノタウトは、日本の竹の文化に感激したため
至るところに竹は使われています。
電球を吊るしてある鎖のようなものも、竹でできてるのですよ!
上の写真は、この建物の看板になっていますね。
この鮮やかな赤は塗装ではなく、絹を貼ってあるのです。
私は、この階段は舞台だと思っていたのですが、階段に座って海を見るということなのです。
地下の空間はすべて海を眺めるために設計してあるのですよ。
こちらの和室は、一番奥になります。
この部屋はブルーノタウトが視察した桂離宮にたいそうインスパイアされて
設計したらしいです。
この階段も同じく海を見るためのものです。
畳の貼り方は、神社仏閣の貼り方と同じです。
柱梁天井は、当初は「桐の正目」を使う予定でした。
しかし、施主の日向さんが、
「桐の正目は、下駄に使われている素材だから、それを建物の上部に使うなんて、
お客様に失礼だ」と言って反対したのです。
この件で、ブルーノタウトはやる気がなくなり、
柱梁はテキトーに色を塗ってサッサと去ってしまったのだそう。
ブルーノタウトは、当時では世界的な建築家でしたので、
施主とはいえ、反対されたのが猛烈に嫌だったのでしょう。
現代は、圧倒的に施主が強いですよねー。
小さい空間なのですが、ガイドの話を聞くのと聞かないのでは大違い。
とても印象に残る見学会になりました。
2020年のオリンピック新国立競技場の設計に選ばれた建築家隈研吾が
最近の講演会で、このブルーノタウトにインスパイアされたということを
公言しているようで、ますます来場者が増えているとか。
隈研吾の手がけたホテルはこの隣にあります。
バンダイの迎賓館として建てられた海峯楼という建物です。
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