階段の迷路を攻略せよ!早川邦彦『ラビリンス』探訪記

東京都

早川邦彦の手がけた「アトリウム」という集合住宅があって1986年ごろ見学に行ったのですが、とてもスタイリッシュで感銘を受けたことを今も忘れられません。当時のトレンディドラマ「抱きしめたい!」の舞台にもなりました。残念ながらこの作品はなくなってしまいましたが、早川邦彦のその他の集合住宅も見ておきたい!ということでアトリウムを訪れてみました。

西武新宿線・下井草駅から少し歩いた住宅街。突如として、幾何学的なシルエットと柔らかな色彩が織りなす不思議な空間が現れます。

今回訪れたのは、建築家・早川邦彦氏が設計した集合住宅「ラビリンス(Labyrinth)」。1980年代のポストモダン建築を象徴するこの場所は、数十年経った今でも色あせない魅力に満ちていました。

1. 時を経ても色あせない「パステルカラー」の魔法

まず目を引くのが、その配色です。淡いピンクやブルー、イエローといったパステルカラーが散りばめられ、現代の視点で見ても全く古臭さを感じさせません。むしろ、最近のニュアンスカラー流行りもあって、非常に「今っぽく」おしゃれ。

コンクリートの無機質さと、優しい色使いが絶妙なバランスで共存していて、思わずシャッターを切りたくなるフォトジェニックな空間でした。

2. まさにその名の通り「階段の迷路」

敷地内に一歩足を踏み入れると、建物の名前が「ラビリンス(迷宮)」である理由がすぐにわかります。

視界に飛び込んでくるのは、複雑に交差する階段の数々。

  • 「この階段はどこへ繋がっているの?」
  • 「あそこに見える踊り場にはどうやって行くんだろう?」

と、視線が迷子になる感覚がとにかく面白い!住戸ごとにアプローチが異なり、立体パズルのなかを歩いているようなワクワク感があります。

3. スリル満点!高所恐怖症にはちょっとした試練?

面白さに釣られてどんどん階段を登っていくと、あることに気づきます。 「……これ、結構高いぞ。」

手すりのデザインが開放的なこともあり、上層階へ行くとかなりの高度感。高所恐怖症の方にとっては、ちょっと足がすくんでしまうようなスリルがあります。吹き抜けを見下ろした時のパース感は圧巻ですが、苦手な方は壁際を歩くのが正解かもしれません(笑)。

4. 「住むなら健脚」が必須条件!

見学を終えて一番に感じたのは、「ここに住むなら、足腰を鍛えておかないといけないな」ということ。

エレベーターで効率よく移動する現代のマンションとは対照的に、自分の足で階段を一段ずつ登り、迷路のような共用部を通って自分の部屋に辿り着く。そのプロセス自体を楽しむ余裕と、それを受け止める健脚が必要です。


訪れてみてのまとめ

早川邦彦氏の「ラビリンス」は、単なる集合住宅ではなく、日常に「遊び心」を強制的に(?)組み込んでくれる装置のようでした。機能性だけではない、建築が持つ「表現の豊かさ」に触れた一日でした。

建築好きの方はもちろん、デザインの刺激が欲しい方は、ぜひ一度その目で「迷宮」を確かめてみてください。