清春芸術村とは、山梨県北杜市にある安藤忠雄や谷口吉生といった何人かの建築家の作品が点在するスポットです。西には南アルプス、北には八ヶ岳が迫り、富士山も遠望できる清春芸術村は、樹齢80余年の桜の老樹に囲まれた大変景色の良いところです。
ラリューシュ 1981年4月完成
1977年に、創立者である吉井長三が、小林秀雄、今日出海、白洲正子、東山魁夷夫婦、谷口吉郎、正田英三郎らと桜の季節にこの地を訪ね、その美しさに魅せられて、1980年アトリエ清春荘(命名小林秀雄)を設立、翌年集合アトリエ(ラリューシュ)を芸術家の育成の場として建設しました。これは、1900年にパリ万博のワイン館として建てられたもので、後にシャガールやスーチンを始めとする20世紀の巨匠たちを輩出したアトリエ兼住居と同じ設計です。(内部は非公開)
清春白樺美術館 1983年4月開館
清春白樺美術館は、谷口吉生氏の設計で、武者小路実篤、志賀直哉など白樺派の作家たちが建設しようとしてその夢を果たせなかった幻の美術館を、武者小路、志賀の両氏を敬愛し、個人的にも親交のあった吉井長三が実現したものです。「白樺」の同人が愛したルオーの作品をはじめ、梅原龍三郎、岸田劉生、バーナード・リーチ、中川一政ら「白樺」の運動に参加した芸術家の諸作品と「白樺」関係の書簡、原稿などの資料と「白樺」の創刊号から最終号までを常設展示しています。
光の美術館 2011年4月開館
光の美術館は安藤忠雄氏による設計で建てられました。展示室は人工照明がなく、季節や時間とともに変化する自然光のみで作品を鑑賞できます。ピカソの後継者と謳われたアントニ・クラーベの作品を展示しています。
ルオー礼拝堂 1986年開館
20世紀最高の宗教画家であるジョルジュ・ルオーを記念して建設された礼拝堂。入り口扉上のステンドグラス「ブーケ」はルオーが制作したものです。祭壇背後の壁に掲げられた木彫のキリスト十字架(17世紀)は、ルオー自身が採色したものです。建築設計者は谷口吉生氏。
茶室徹 2006年4月完成
この一本足の茶室「徹」は、建築史家藤森昭信氏の設計によるものです。茶室を支える檜は清春芸術村に植わっていた樹齢80年の木を倒して使用し、建築にあたっては縄文建築団のメンバー、赤瀬川原平、南伸坊、林丈二らが手伝って作り上げました。高さは地上4メートルで室内は1.7坪になります。(内部は非公開)
梅原龍三郎アトリエ 1989年4月移築
この建物は、画家・梅原龍三郎(1888~1986)のアトリエを移築したものです。建築設計者は吉田五十八氏。画家が好んだ紅殻色の京壁や床の間などを取り入れた24畳のアトリエには、愛用のイーゼル、絵具箱、制作途中の絵なども常設展示されています。
白樺図書館 2002年4月開館
雑誌「白樺」の復刻版や白樺派ゆかりの作家による文学ならびに美術書を中心としてそろえています。図書館長は、谷川俊太郎氏。(内部は非公開)
エッフェル塔の階段
エッフェル塔完成百周年の1989年にエッフェル塔の一部がフランスより清春芸術村へ移設されました。隣の彫刻は現代美術家セザールによるエッフェル造です。
清春登り窯
構造は五連の登窯です。通常、春と秋に窯の火入れをします。
感 想
来訪したのは、天候に恵まれた土曜の午後でしたが、ほとんど人気はなく、穴場中の穴場と言えるでしょう。興味深いアートが集結してはいるものの、そのほとんどが内部非公開であるため、その点が非常に残念です。施設内には飲食店がありませんでしたので近隣のおススメを紹介します。
【翁(おきな)】
そば処。芸術村を通り過ぎて少し行ったところにあります。緑に囲まれた景観が素晴らしい。焼き味噌がとても美味しいです。
その他、芸術村の駐車場の前に飲食店はありましたが、高級店です。
【素透撫(フレンチ)】
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